田んぼや畑では農作物にとって有害な様々な生物が発生してきます。それら有害生物から作物を保護するために使われる薬剤。特に雑草・害虫・病原菌を防除するのが農薬です。
除草剤・・選択性除草剤・・・作物と雑草が生えてる時にまき、雑草だけ枯れさせます。
・・非選択性除草剤・・薬剤のかかった草は全て枯れます。作物のない所で使います。
殺菌剤・・植物の病気を防ぎます。病原菌は主にカビの仲間です。
殺虫剤・・害虫を防除します。ダニを防除する殺ダニ剤もあります。
殺鼠剤・・ねずみなど作物を食い荒らす大型動物を防除します。
植物生育調節剤・・作物の背丈を低くしたり、果実の着果を良くするなどのホルモン剤。
土壌消毒剤・・土壌中の細菌など防除します。
などがあります。
19世紀後半にヨーロッパでボルドー液や石灰硫黄合剤が使われたのが近代的な農薬の始まりです。1930年代にDDTやBHC(今は使用禁止で使われていません)など化学合成農薬が発明され大いに発展しました。日本では明治時代に除虫菊やニコチンなど天然物由来の物が使われはじめ、大正時代にはヒ酸鉛(今は使用禁止)などが使われ始めました。戦後、DDTなどが導入され本格的な農薬の使用が始められました
農薬の有効成分を原体と呼びます。原体をまきやすいように、そして効果があるように加工したのが製剤です。
製剤のかたちには、粒状の粒剤、微粒剤。粉状でそのまま使う粉剤、水に溶いて使う水和剤、水溶剤。液状の乳剤、液剤、フロアブル剤や蝿取り紙のように紙等に染みこませたものなどがあります。
「天敵」を人の手でまいてやる方法です。主に殺虫剤の替わりに利用され、害虫に寄生する菌(BT菌)やハチなど、あるいは害虫を食べてしまう虫やダニを工場で人工的に増殖させて作られています。病害を防ぐものや、特定の雑草を枯らすものもあります。化学農薬に比べて安全性が高く、減農薬につながるので使用が拡大しています。しかし、高価で使用方法が難しいので、普及するまでには至っていません。
ある種の昆虫は交尾するためにメスがフェロモンと呼ばれる化学物質を放出してオスを引き寄せます(オスがメスを引き寄せることもある)。このフェロモンを化学合成して、オスを誘引して捕獲したり、フェロモンを大量にまいてどこにメスがいるか判らなくしたり(交信撹乱法)して交尾を阻害します。フェロモンはそれぞれの昆虫によって種類が異なるので、特定の昆虫にしか効果がありません。また効果が発現するのに非常に時間がかかることなどが欠点です。しかし、うまくいくと減農薬などに役立つので期待されています。
シロアリ防除・ゴキブリ駆除・殺虫スプレー・蚊取りマット・木材防腐処理・クーリングタワーなどの巡回水処理・街路樹・線路や道路の保全・公園の除草・ゴルフ場などで農薬と同じ有効成分の薬剤が使われている場合があります。
参考資料:日本農薬振興会・農薬ネット