聞いて集めた昔の話 第9回

上小川に伝わる大御堂観世音

(平成17年3月)

 上小川の観世音は西暦1314年(正和3年)に東小川の川原(現在の千明錦作氏の土地)に観音立像が作られたと伝えられている。

 その後、西暦1486年(文明18年)に現在の場所に移築されて、この観音様は檜の1本彫りで高さ107センチ、舟形光背を配し蓮台にのせてあり、作者は文明18年(1486年)足利時代の「和泉」とあり昔は美しい色彩がなされていたが今では下地の白が出ていました。
 昔の大御堂は木造造りで茅葺きであったが、昭和43年3月に片品村の文化財に、昭和48年12月24日に群馬県重要文化財に指定されている。大御堂が永年の風雨や雪のためにお堂の傷みがひどくなったので、群馬県や片品村の補助金を受けて昭和54年度に修復改築工事を行い同年12月24日に竣工になりました。総工費は11,123,652円が掛かり、聖観音像修復担当者には東京芸術大学の本間紀男氏が担当したそうです。部落の保存会役員として会長に星 三郎氏をはじめ千明 良氏他7名があたり、現在の鉄筋コンクリート造り、金属板葺きの大御堂が完成したそうです。
 昔の観音様のお祭りは毎年4月18日に行われて、当日は部落内の人たちが集まり赤飯や甘酒をよばれたそうです。また この日には年輩の女の人がお堂に寄って念仏をあげて供養をして来たが時代の移り代わりと共にお祭の方法も変わりお参りする人も少なくなり、毎月18日に念仏をあげるのも春から秋までは夜に婦人が集まりあげていると云う。
 この大御堂は利根観音めぐりの31番札所で、大御堂の前には「わかれては、また大御堂いつの世に、去らず来らぬ身となりぬべき」の御詠歌が残されていました。この霊場めぐりの創始は一番札所(利根郡新治村布施、千手院)に縁起に元和元年(1615年)修験僧良宗法院札所を始めたと記録があり、人びとは巡礼によって「罪悪消滅、後生安楽」を願って札所めぐりをしていたそうです。
 お堂の前には樹令百年を越えるシダレ桜があり、目通り2.6m、樹高14mの片品村に珍しい種類の桜は片品村の天然記念物指定されており、このシダレ桜と共に大御堂観音様を大事に保存しながら後世に残したいと千明 良さん、ヒロ子さんは話してくれました。

 

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