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マルハナバチのお話

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  • マルハナバチとは?

 マルハナバチ(丸花蜂)とはミツバチ科ミツバチ亜科(独立のマルハナバチ亜科とすることもある)の昆虫で、世界で約250種が知られている。最近の分類体系ではマルハナバチ属Bombus)1属のみを含むとされる。英語ではbumblebees。アジア中央部の草原地帯に分布の中心をもちヨーロッパ、東アジア、東南アジア、南北アメリカ大陸にも分布する。

  • マルハナバチの概要

 マルハナバチの姿はミツバチに似て、丸みをおびており毛深いが、ミツバチより少し大きい。北方系の昆虫であり、高緯度地方に数多くの種が分布している。日本でも珍しくはないが、ヨーロッパではより身近である。また、牧草の主力の一つであるアカツメクサなどの花粉媒介をおこなうものとして、日本よりはるかに重視され、親近感が強い。

  体は黒で、白や黄色の筋状の模様があるものが多い。体毛が長いため花粉を集めるときに効率が良くなっており、温帯地方の虫媒花の送粉者として非常に重要な存在である。

 ミツバチと同じように女王バチのみが産卵を行う社会生活を行い、交尾を済ませた女王バチのみが越冬し、翌春単独でコロニーを創始する。ただし、巨大なコロニーは作らず、家族生活に近い。

温帯に生息する種の多くは、女王バチが春先に単独でネズミの古巣などの空間を利用して巣づくりをはじめる。次第に働きバチが増えると女王バチは産卵に専念し、夏から秋にかけて次世代の女王バチとオスバチを産む。オスバチと交尾した新女王は土のなかなどにもぐりこんで越冬する。熱帯に生息する種のなかには、ミツバチと同じように巣分かれ(分封)で増えるものもある。これらの社会性の種のほかに他のマルハナバチの巣のなかにもぐりこんで餌を搾取する労働寄生性の種があり、ヤドリマルハナバチ亜属としてまとめられている。

  日本には15種のマルハナバチが生息している。北海道と本州で種の構成が異なり、また一部の種で亜種への分化がみられる。本州では、中部山岳地帯で多くの種がみられる。

 マルハナバチは多くの植物にとって重要な送粉者である。種によって吸蜜に用いる口器(中舌)の長さが異なり中舌の長いナガマルハナバチトラマルハナバチなどは蜜源の深い花を、中舌の短いクロマルハナバチオオマルハナバチなどは蜜源の浅い花を訪れる傾向がある。

  • 農業での利用

 最近ではトマトやナスの栽培の受粉でもマルハナバチが利用されている。利用されているのは、セイヨウオオマルハナバチが中心であったが最近では在来種が多くなっている。ホルモン処理よりも省力化が進み種子が多くできるから、トマトでは空洞が出にくく果肉の食味は甘くなり、ゼリー部は酸っぱくなるという。ただしマルハナバチを利用すると、これに害をなす農薬を使えないから天敵利用に進むことになる。

 しかし一方でセイヨウオオマルハナバチは世界各地で野生化し、強い競争力による在来花蜂の減少や近縁の在来種との交雑、あるいは在来植物の結実率低下など、さまざまな生態系の攪乱を引き起こすとして問題にされている。ハウスの外に出さないようにし、また在来種の販売利用も始まっているが在来種利用にも地域移動により生態系が攪乱されるという問題があるとする向きもある。夏秋トマトの産地ではハウスの側面をネットで囲い周囲への逃亡を防いでいる。片品ではほぼ全員が在来種を利用している。


出典 ウィキペディア / 参考資料:日本農薬振興会・農薬ネット



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