聞いて集めた昔の話 第15回

上摺渕の三嶋神社

(平成17年9月)

 三嶋様は上摺渕の星野本三宅前の四ツ角を東の方角に入り、星野政雄宅より先におよそ300m位行ったところにありました。
 三嶋神社の元社は静岡県三島市大宮町2-1-5の三嶋大社であり、御祭神は大山祇命(おおやまつみのみこと)は林業や農業の守護神として農家の崇敬(すうけい)があり、事代主命(ことしろぬしのみこと)は俗に恵比寿様ともいわれ、商、工、漁業者の崇敬が厚く御二柱が祀られているそうです。又、一方では源頼朝が安徳4年(西暦1180年)に平家討伐のために旗揚げをし、戦勝祈願をし平家討伐が成功以来、武門、武将の崇敬厚くなり武門の神様として信仰があったそうです。
 上摺渕の三嶋神社についての記録は残っていないが、上摺渕の先祖が三嶋大社をお参りしてお札を受けて持ち帰ったものを、林業や農業の守神として祀ったのか、三嶋大社の人が布教に来たのかは不明だそうです。又、三嶋神社は虫歯の神様としても地元の人達の信仰があり、虫歯にならない様に、早く治る様にと「おがら」(麻で皮をはいで残った幹の部分)で造った小さな梯子を供えて祈願をしたそうです。「おとぎ」や「梯子」についての話は三嶋大社にも伝説があり「おとぎ」を差し上げると云って(ご馳走)を作り供えたり、山仕事の安全を願って木の枝で造った梯子を供える習慣があったそうですが、虫歯の神様や「おとぎ」が「おひとぎ」に変わった経緯は不明だそうです。(三嶋大社についての話は鎌田の大久保勝美さんより取材する。)
 祭日は旧暦の9月29日に行われており、今でも祭りに日は変わっていないが、昔は「おひとぎ」といって(小麦粉や蕎麦粉などで作った正月のおそなえ餅の様な供え物)を作り神様に供えて、それを子供たちが奪い合いをし家に持ち帰り焼いて食べると虫歯にならないと云う風習があったそうです。
 このような行事は星野武男さんが子供の頃までは賑やかだったが、太平洋戦争の終わる頃には無くなったそうですが、今では毎年、当番の人が各戸より米を集めて甘酒をつくり供えて菓子と一緒にお参りに来た人達に上げてると云う。
 現在の建物は従来の社の傷みがひどくなったので、星野ひろしさん(星野明さんの祖父)達が世話人となり寄付を集めて、昭和30年9月に改築されたそうです。又、昔の神社の脇に大きな「しらくち」の木があり、沢山の実がなって祭りの頃には霜が何度も降り熟して、それを食べるのがとても楽しみだったが食べた後に口のまわりが荒れて痛くなったと当時を思い出して懐かしそうに星野武男さんは話をしてくれました。

 

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